このハンズオンでやること | Docker Compose を用いて開発環境を構築します。 |
想定時間 | 1h |
前提知識・用語 | docker |
# 開発環境をDocker Composeで構築
# 事前準備
- この講義では
docker compose (docker-compose)
はコマンドを使います。 - 環境ごとに インストール方法が異なるので、 以下の通り導入しておいてください。
- インストールが完了したら下記コマンドを実際に入力し、コマンドが実行できるか確認してください。
$ docker compose version
# Windows, macOS向け
- ハンズオン事前準備 (opens new window) で Docker Desktop for Windowsや、Docker Desktop for Mac を導入済みであれば、すでにインストールされているはずです。
# Linux向け
- 以下の手順に従って、
docker compose
をインストールしてください。 - https://matsuand.github.io/docs.docker.jp.onthefly/compose/install/ (opens new window)
# Docker Compose 概要
Docker Compose とは、複数のコンテナから構成されるようなアプリケーションの管理をしやすくしたものです。 Docker Compose を利用することで、各コンテナの起動・停止が一括して行えたり、後述する1つの設定ファイルに各コンテナの情報を記述するため可視性が高くなり管理もしやすくなります。 また、各コンテナ間のネットワークや依存関係も設定ファイルとして管理することが出来る点も利点です。
例えば、以下の2つのコンポーネントから構成されるWebサービスをDockerコンテナを用いた場合を想定してみましょう。
- フロントエンド(Flask)
- バックエンド(Rails)
通常、この構成のWeb サービスを起動する際、各コンテナを立ち上げるため、docker run
コマンドを2回実行する必要がでてきます。従って停止する際も同様に2回の操作が必要です。
しかし、Docker Compose を用いて管理を行うと、各コンテナの定義をした設定ファイルである「docker-compose.yml」に基づいて一括管理することが可能となります。具体的には、上記の各コンテナの起動・停止などは、docker compose
コマンドを1回実行するだけで済みます。また、コンテナの起動順序も適切な順番で起動することが可能となります。特に開発する際やテストなどの際には、サービスの起動停止は複数回繰り返したりすることも考えられるため効率化につながります。
本講義では、実際に複数コンテナをDocker Composeを用いて管理を行っていきます。Docker Composeを使ったアプリケーションを実行するまでの一般的な流れは以下の通りです。
- 各コンテナのDockerfile の作成
- docker-compose.yml の作成
docker compose
コマンドを使った複数のコンテナの管理
そこで本講義でも上記の流れに沿って講義を進めていきます。
# Docker Compose 演習
本章では、実際にdocker compose
コマンドを使って複数コンテナの立ち上げや停止などをしていただきます。
今回題材のサービスは、Python製のWebAPIフレームワークとしてFlask を利用したWebアプリケーションです。
Webアプリケーション自体の作成は本質ではないので、サンプルコードをそのまま利用していただきます。Web アプリケーションの機能は以下の2点です。
それぞれファイルは以下のように配置してください
.
├── app.py
├── docker-compose.yml
├── Dockerfile
└── requirements.txt
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# サンプルアプリケーションの作成
テキストエディタを開き app.py
というpythonコードを書きます
import time
import redis
from flask import Flask
app = Flask(__name__)
cache = redis.Redis(host="redis", port=6379)
def get_hit_count():
retries = 5
while True:
try:
return cache.incr("hits")
except redis.exceptions.ConnectionError as exc:
if retries == 0:
raise exc
retries -= 1
time.sleep(0.5)
@app.route("/")
def hello():
count = get_hit_count()
return "Hello IIJBootcamp ! I have been seen {} times.\n".format(count)
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続いてアプリケーションの実行に必要なモジュールリストファイル requirements.txt
を作ります。
flask
redis
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# Dockerfile の作成
この節では、前述したコンテナのDockerfile を作成します。Dockerfile の作成については、前講義「Docker を触ってみよう」で行いましたので、各命令などの詳細な説明は割愛します。
以下の内容をファイル名「Dockerfile」で作成してください。
# syntax=docker/dockerfile:1
FROM python:3.7-alpine
WORKDIR /code
ENV FLASK_APP=app.py
ENV FLASK_RUN_HOST=0.0.0.0
RUN apk add --no-cache gcc musl-dev linux-headers
COPY requirements.txt requirements.txt
RUN pip install -r requirements.txt
EXPOSE 5000
COPY . .
CMD ["flask", "run"]
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# 2.2 docker-compose.yml の作成と解説
次に、以下の内容をファイル名「docker-compose.yml」で新規作成してください。
version: '3'
services:
web:
container_name: iijbootcamp-flask
build: .
ports:
- "8088:5000"
redis:
container_name: iijbootcamp-backend
image: "redis:alpine"
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では、ファイルの各設定について見ていきたいと思います。
version
では、docker-compose.yml自体のバージョンを設定します。現在の最新版は、3系です。ここで指定するバージョンによって機能の違いが生じるため、調べる際には気を付けてください。services
では、Docker Compose で管理する各サービスを子要素として定義していきます。本設定の子要素になっているweb
とredis
が、それぞれflaskとRedisのWebアプリケーション用のサービスです。ここは、好きな名前を設定できます。
次に、redis
の子要素について見ていきます。
container_name
は、作成されるコンテナ名を設定しています。この値やサービス名は、別コンテナからアクセスされる際のホスト名としても利用可能となります。image
では、Docker イメージを指定します。Dockerfile と同様ローカルにDocker イメージが存在しない場合は、DockerHub などからダウンロードしてきます。
最後に、web
の子要素について見ていきます。
build
は、独自にDockerfile などを用いてDocker イメージを作成する際に使う設定です。build
の子要素に、Dockerfile が格納されているディレクトリを示すcontext
が必須となっています。また、今回のようにDockerfile に「Dockerfile」以外の名前を使っている場合は、dockerfile
で対象ファイル名を指定する必要があります。ports
は、ホストとコンテナのポートをマッピングする設定です。今回の場合、backend サービスは、コンテナ内でポート80で起動しているので、ホストのポート8088へアクセスしたらコンテナ内の80に接続されるように設定しています。ここに記載する値は、文字列を推奨します。なぜならば、YAML の仕様では、XX:YY
は、60進数として解釈されてしまうため、意図しない値になる可能性があるためです。
その他詳しい機能について知りたい方は、公式のリファレンス (opens new window)をご参照ください。
# 2.4 docker compose コマンド
では、必要なものはすべて揃ったので、「docker-compose.yml」が存在するディレクトリで、以下のコマンドを入力してください。
$ docker compose build
$ docker compose up
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初回実行時は必要な image の取得や Dockerfile.backend を利用した docker build などが実行されるため、時間がかかります。
また、もし プロキシ 環境下で 正常に go get が成功しない場合は 以下のように docker compose build
してから試してみてください。
$ docker compose build --build-arg https_proxy=http://<proxy>:<port>
$ docker compose up
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docker compose up
コマンドは、docker-compose.yml ファイルに基づきコンテナを新規作成し、起動するコマンドです。-d
オプションを利用することで、デーモンとして起動することも可能です。デーモンで起動している際は、ログが表示されなくなってしまうので、見たい場合はdocker compose logs
コマンドで閲覧可能です。また、-f
オプションを渡すことで、ログを流し続けることができます。
別のターミナル環境を開いて、「docker-compose.yml」が存在するディレクトリ で以下のコマンドを入力してください。
$ docker compose ps
NAME IMAGE COMMAND SERVICE CREATED STATUS PORTS
iijbootcamp-backend redis:alpine "docker-entrypoint.s…" redis 8 seconds ago Up 7 seconds 6379/tcp
iijbootcamp-flask solution-web "flask run" web 8 seconds ago Up 7 seconds 0.0.0.0:8088->5000/tcp, :::8088->5000/tcp
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docker compose ps
コマンドでは、Docker Compose で管理してる各コンテナの状態を一覧で見ることができます。「State」が「Up」になっていれば立ち上がっている状態です。その他のカラムはdocker ps
の意味と同様です。
# Webアプリケーションの動作確認方法
無事に起動できたならば http://localhost:8088
にて画面が表示される為、ブラウザでアクセスしてみてください。
内部では表示回数をカウントしているため、リロードなどをする度に数が増える事でしょう。
# 3. Docker のネットワーク
前章では、Docker Composeでコンテナ間接続を体験しました。本章では、Docker がどのようにしてネットワークを構築し、ホストとコンテナやコンテナ間を接続しているのかをご紹介します。まずは、以下のコマンドを実行してみてください。
$ docker network ls
NETWORK ID NAME DRIVER SCOPE
420d7b4e475a bridge bridge local
24bd91406a30 docker-compose_default bridge local
7b99e3f7a971 host host local
f70accdb164f none null local
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docker network
コマンドは、Docker ネットワークを管理するためのコマンドです。ls
サブコマンドは、Docker が把握しているすべてのネットワーク一覧を表示するコマンドです。
Docker をインストールすると、自動的に以下の名前の3つのネットワークを作成します。
- bridge
- none
- host
docker run
コマンドを実行する際に、--net
オプションで、これらの値を設定することができます。デフォルト値では、bridge
になっています。Docker がインストールされた今回の環境では、ホストに「docker0」というブリッジネットワークが表れます。これが「bridge」に接続されており、Docker はデフォルトでこのネットワークにコンテナを接続します。そのため、ホストからコンテナへの接続やコンテナ間の接続が可能となります。none
は、ネットワークの接続を必要としないコンテナを作成する際に利用します。host
は、コンテナがホストと同じインタフェースやIPアドレスを持たせたい際に利用します。
上記結果の中で、「default」で終わるネットワークは、docker compose
コマンドによって自動的に作成されたネットワークのことです。「default」の前には、プロジェクト名(docker-compose.ymlファイルが存在するディレクトリ名)が利用されます。
以下のコマンドを入力してください。
$ docker network inspect bridge
[
{
"Name": "bridge",
"Id": "420d7b4e475aa6a17e94a33cbda837af886dafd98339176e0acd31252904aed6",
"Created": "2019-02-21T06:07:03.697181196Z",
"Scope": "local",
"Driver": "bridge",
"EnableIPv6": false,
"IPAM": {
"Driver": "default",
"Options": null,
"Config": [
{
"Subnet": "172.17.0.0/16",
"Gateway": "172.17.0.1"
}
]
},
"Internal": false,
"Attachable": false,
"Ingress": false,
"ConfigFrom": {
"Network": ""
},
"ConfigOnly": false,
"Containers": {},
"Options": {
"com.docker.network.bridge.default_bridge": "true",
"com.docker.network.bridge.enable_icc": "true",
"com.docker.network.bridge.enable_ip_masquerade": "true",
"com.docker.network.bridge.host_binding_ipv4": "0.0.0.0",
"com.docker.network.bridge.name": "docker0",
"com.docker.network.driver.mtu": "1500"
},
"Labels": {}
}
]
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inspect
サブコマンドでは、引数に取ったネットワークやコンテナの情報を表示できます。本コマンドによって、サブネットやゲートウェイといった情報などが閲覧できます。割愛しますが、docker compose
コマンドによって生成されたbridgeネットワークと各コンテナのIPアドレスをinspect
サブコマンドで確認してみると同一ネットワークにいることが確認できると思います。
# 4. まとめ
本講義では、Docker Compose を紹介し、実際にdocker compose
コマンドを使って、複数のサービスを管理していただきました。複数のDocker コンテナを管理する場合、Docker Compose を用いるとDocker単独で利用するよりも効率的に管理することができるためぜひ利用してください。また、OSS の中ではDocker イメージを始め、docker-compose.yml
を公開しているものも多いため、それらを使って簡単に検証作業や環境構築などを行うことができます。ぜひ有効活用してみてください。
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